この記事では人気番組「あさイチ」で紹介された、祖父、父も有名作曲家で、数々の大ヒット映画、大河ドラマ、ブギウギなどの緻密な作編曲で知られる服部隆之(はっとりたかゆき)さんはどんな作曲家なのか、生い立ちから緻密な作編曲で日本一多忙な作曲家になるまでを分かりやすく解説します。
服部隆之さんはNHK朝ドラ「ブギウギ」ではドラマの中のBGMを含めて全て、作曲、編曲などをされています。主要な場面となった数々の演奏シーンでも編曲。そして、主題歌は作詞作曲も出かけています。
祖父、父も有名作曲家の家系図
東京ブギウギなどの作曲家である羽鳥良一さんのお孫さんで、ミュージックフェアなど多くのテレビ刃組で作編曲や四季を手掛けた服部克久さんの息子さん、服部隆之さんです。「大空の弟」という曲は感動的でしたよね。服部良一さんが書いたという譜面が見つかり、実際のレコーディングにも立ち会われています。お父さんも作曲家として有名な方です。ごく気さくな方でしたが、もちろんのことながら、様々なジャンルの音楽に造詣が深い方です。
数々のヒット映画やドラマの曲を作編曲
- 半沢直樹のテーマ曲
- ヒーロー
- のだめカンタービレ
- 大河ドラマ新撰組、真田丸
- 王様のレストラン
- 機動戦士ガンダム THE ORIGIN
- お金がない!
- 今井美樹さんなどポップスの編曲も
などなど、とてもではありませんが書ききれないほど。しかもジャンルも幅広い。
すでにいろんなバラエティなどでも使われています。流麗で華やかなメロディーが印象的ですよね。
古い楽曲の編曲では今の時代に合わせる工夫
朝ドラマ「ブギウギ」の中では、劇団サウンドトラックを作曲してます。服部良一さんのヒット曲を編曲しています。主題歌のハッピー ブギという曲を作詞作曲しています。実際の歌に関しても、レコーディングで歌の指導をしています。
特に笠置 シヅ子さんの半生を描いた朝ドラマのブギウギ、やはり音楽のシーンが多いですよね。普段は劇場版だとBGMを作ってしまえば終わりますが、今回は服部良一さんの当時の編成で演奏してますから、元の曲もありましたが、服部隆之さんのニュアンスを少し付け加えたり、少し今の時代に合わせて店舗を早くしたりして工夫います。
テーマ曲の作詞
テーマ曲の作詞は元々依頼しようとしていましたが、服部隆之さんが所々思いついたワードを書き留めていたいたらいつのまにかできてしまい、プロデューサーに見せたらOKをもらってしまったとのことです。
趣里さんの唄の成長を支えた服部隆之さんの励ましの言葉
ブギウギの主演の趣里さんによると「もともと歌に苦手意識がありましたが、トレーニングしていくうちに高い音が出るようになってきて、音程も体感が安定して音程も良くなってきました。コンサートのシーンの撮影でも、ライブならではのその時間を感じることができました。そんな中、「趣里ちゃんらしく歌って」と服部隆之さんに励まされて、自分の中でも楽しくなっていった」ということです。
「音を楽しむのが音楽だと感じられるようになってきた。」というこの手ごたえもドラマ後半、大物歌手となった笠置 シヅ子さんを演じられた際の図太さのようなところに出ていたのではないかと思いました。
朝ドラ「ブギウギ」のオーディション
朝ドラのオーディションは2022年の9月で、最後には10人ぐらい残りました。脚本家の足立さんは演技の方から審査して、服部さんは歌の方から審査しました。
趣里さんの歌唱にあまり高い評価はしていなかった
内容は、東京ブギウギを歌って少し演技をしてもらいました。服部さんは歌だけ聞かせてもらいました。名前は誰かわからないですが、番号をつけていました。実は趣里さんの歌唱にあまり高い評価はしていませんでした。
引き込まれる魅力のある演技を絶賛
しかし、オーディションで演技を見せてもらうと、ものすごく引き込まれる魅力がありました。「これだけお芝居の力があれば、歌はちゃんとトレーニングすればすごくいいよね」という話になっていました。
裏声、ファルセットを使うな、全部地声で歌え
2023年の2月頃から稽古されて、素晴らしい先生とトレーニングをしました。服部さんからすると、高音はすごく安定していると感じました。「裏声、ファルセットを使うな、全部地声で歌え」という指示をされていました。
笠置 シヅ子さんは、ファルセットは使わなかったそうなんですね。高い音程の場所でも裏声には逃げられないので、それが大変だったそうです。しかし、趣里さんは全部こなしていきました。そんなに半年ぐらいでボーカルって上手くなるんですね。
そして、技術的なところ以外に、人の心に伝わる、刺さる歌がすごいなと感心しています。
朝ドラ「ブギウギ」の主題歌「ハッピー☆ブギ」
主題歌「ハッピー☆ブギ」を主演の方が歌うというのは珍しいことでした。もともとは、さかいゆうさん、中納良恵(EGO-WRAPPIN)さんのデュエットで考えていましたが、「趣里さんが娘役という感じだったら面白いだろう」と提案されました。
おじいさんの服部良一さん、お父さんの服部克久さん
羽鳥善一さんのモデルになっているのはおじいさんの服部良一さん、服部かつおさんのモデルはお父さんの服部克久さんです。服部良一さんは、お孫さんから見ると「非常に優しい、怒らないおじいさん」でした。
服部良一さんの『僕の人生』という自伝を読むと、音楽のことしか考えていない。そして、一旗あげるという野心を持って、全力で取り組んできました。大阪から東京へ出て行きました。古賀政男さんを追い越すつもりで努力してきました。確かに、ビール党だったそうです。当時としては珍しいですよね。当時の服部良一さんにとって、笠置 シヅ子さんは自分の音楽を表現する重要な方でした。そのギラギラ感はだんだん収まってきていたようです。
小学生の時から作曲家になることを意識
服部隆之さんも小学生の時から作曲家になることを意識していました。クラシックの勉強をしていましたが、つまらなかったですが、お父さんの服部克久さんが音楽が嫌いにならないように上手に教えてきたようです。中学時代には、バンドを組んでパットメセニーというジャズギタリストのコピーバンドをやっていました。
当時から、他の曲をバンド用にアレンジしたりしていました。うまくいっても、うまくいけば「さすが」と言われますが、うまくいかないと「3代目なのに」と言われてしまうので大変ですよね。
服部隆之さんの娘さんの服部百音さんはバイオリニストです。すごいですね。5歳からバイオリンを始め、すでにコンクール受賞、世界で活躍しています。すごい迫力ですね。どんなお父さんなのか聞いてみると
「お父さんはアナログで、ガラケーとFAX、手書きで消しゴムで消して楽譜を書いている。友人からスマートフォンをもらったのに、全然使わないで神棚の上に祀ってあった。
エネルギーをかけるものと開けないもの、オンとオフの差が激しい。やると決めたら、休憩時間ゼロでも徹夜でも、必ず到達させるエネルギーがすごいですが、そうじゃない、そうではないことには興味が0。奥さんと一緒に買い物に出かけても、全く上の空だったりする。曲のアイデアが思いついたらそのまま帰ってしまう」とのことです。すごく意外ですが、天然の、マイペースタイプなのかもしれませんね。
服部百音さんは作曲家の曲を聞くと、その人の性格も感じ取ることができます。服部隆之さんの楽曲を聞くと「気が短くて、実は表現も激しい人なんだということが分かる」とのことです。
意外とアナログ、天然のマイペースタイプ?
服部隆之さんによるとスマホについてはとにかく部屋が譜面でいっぱいなので、それぐらいしか置く場所がありませんでした。スマホは別にお祈りしてるわけではないようです。曲やメロディーは思いついたら、スマホだったら録音したり色々できると思うんですが、とにかく忘れないように早く帰りたくなってしまいます。
最近は多くの作曲家の方がパソコンで作曲されていますが、ただ「間違った時に修正するのは消しゴムの方が早い」というメリットがあるそうです。
最近は、人の曲をライバルと思って聞くわけではないですが、ドラマの劇団BGMなどで面白い音が入ってると、ちょっと調べたりすることはあるということです。
バイオリニストはアスリートのようなものなので、とにかく練習して体を動かすしかありません。作曲家とは意外と全く別の世界だということです。演奏家も大変なんですね。さらに、世界中を飛び回る生活で、先生も海外にいる先生でした。
服部隆之さんにお父さん(服部克久さん)が教えてくれたように、「いつでもやめてもいいよ」という逃げ口は用意しておきました。「(服部百音さんが)その安心感を持ちながらしっかりと演奏に取り組んでいるのは良かった」ということです。「面白くなくなったらやっていけない」ということを力強く語っておられます。やはり、音楽も仕事となると大変ですよね。
ブルースの女王、淡谷のり子さんを演じた菊池凛子さん
ブギウギの中では、茨田りつ子さんを、菊池凛子さんが演じています。モデルになってるのは、ブルースの女王、淡谷のり子さんです。菊地凛子さんも全く歌の経験はなかったですが、「2023年初めから稽古で、ここまで歌われるとは、相当なトレーニングを積まれたのではないか」ということです。
ドラマの中では福来スズ子が茨田りつ子の歌を聞いて歌手になりたいと思ったというぐらいですから、圧倒的に上手くないといけない役柄です。最初は淡谷のり子さんの歌い方を意識していましたが、「自分なりにレッスンを受けて、自分が歌うということも重要なのではないか」と考えるようになったそうです。そのため、既に録音したものを「もう一度録音させてほしい」とお願いしたそうです。
歌うことの厳しさを学びましたが、練習して自分が変わったことを、服部先生も感じ取ってくれました。最初は自信がなくて、声量が小さかったですが、トレーニングをされて、手応えをつかんだのでしょうか。また、服部隆之さんによると菊池凛子さんの「自分なりの歌」が素晴らしかったということです。
1回15分のドラマで5分間まるまる曲を歌ってるのは珍しいですよね。音楽がちゃんとしてないと、ドラマ自体が成立しません。
作曲の際に意識していること
脚本はあまり飲み込みすぎないようにして、自分の作曲に制限をつけないようにしているということです。何を書いても「いいね」と言ってくれるということです。
通常、プロの作曲家に対しては、ドラマや映画の制作者の方も要求がかなり厳しいですよね。
大空の弟
福来スズ子が弟を戦争で失った悲しみで歌が歌えなくなった後、羽鳥善一が大空の弟という曲を贈りました。ラッパと娘とは意味が違います。歌詞は全てカタカナで書かれています。
歌と手紙の朗読で構成されてます。曲の中では八郎という名前になっています。弟を心配するお姉さんの気持ちなども描かれています。体が弱いお父さんと一緒につつがなくしてるよというところまで歌詞になっています。
しかし、実は元の曲では、最後の部分は軍国町のマーチになっていたようです。そこからは、自分を鼓舞していきます。自分は頑張って歌うと決意して終わっていました。
パターンがない、非常に覚えにくい曲です。これを聞いて、他の誰かがそれを覚えて歌うというような曲ではありません。これを渡して、弟さんの死と向き合うための曲ではなかったのではないかということです。
幻の曲
当時はあまり発表する機会もなく、幻の曲と言われていました。この楽譜自体が服部さんから笠木さんへの手紙、励ましの手紙だったのかもしれません。
音源もなかったので、元の譜面から再構築してきました。ちょうどこの大空の弟の曲の譜面が、朝ドラの前に2,3年前のお芝居の機会で見つかっていたそうです。非常に貴重な資料ですよね。
実際に、服部良一さんは銀婚式など節目節目で笠置シヅ子さんのために曲を作って送ったりしてたそうです。そのほか、奥さんにも、曲を送ったりしてたそうですね。
まとめ
今後のますます活躍が楽しみですね。